2011/03/31

ある日、相続が発生した。126

近衛不動産の営業さんとの待ち合わせは朝の10時でした。
長男と共に車に乗せてもらい、Q県のM警察へ向かいました。その車中で事の経緯を説明してもらいました。
近衛不動産さんは最初は営業所のある所轄に赴いたのだそうです。そうしたら、管轄が違うのですまんがそっちに行ってくれないか、ということでM警察に連絡したようです。
そこで押し問答になったようです。

時間はさかのぼり、前日。

あの土地、アパート、住人については近衛不動産はあくまでも第三者ですから、いくら鍵が開いているとはいっても、平井汀子さんがいるかどうか、中に入って確認する訳にはいきません。
ですが、問題の平井汀子さんは五ヶ月間、行方不明の状態になっています。
だから警察を通して安否を、まさかの事態である可能性もあるので、それらも含めて確認するために同行をお願いしようとしたのです。
ところが警察の方は近衛不動産が第三者であることを理由に、確認は出来ないと言いました。
更に私がいても、私は平井汀子さんの息子の元配偶者であり、平井汀子さん自身とは血縁関係にないので、安否確認は行えないと言いました。

そこで近衛不動産は私に電話をしてきたのです。
私がQ県に行くことは事前に知らせておきましたし、実際に着いてから連絡も入れてありましたから、私がQ県に来ていることは知っていたのです。
そこで、すみませんが娘さんはご一緒じゃないですか、と訊かれました。

うーむ。娘(次女)は学校なんですが、長男ならいますけども、と返答しました。
すると血縁者が言うなら話は別だということだったので、同行をお願い出来ませんか、と言われたのです。

ここで時間を戻してみます。
これらのことを車内で説明され、私もなるほどと納得しました。
近衛不動産の営業さんには否はありませんが、警察の応対には間違いがかなりあります。

まず、血縁者であれば同行すると言ったこと。
実は法定代理人というのがありましてですね。未成年者の場合、親権を持つ者が法定代理人になります。つまり、法的な手続きなどを代理で行うことが出来るのです。
たまたま今回は長男が中学生でしたから、言葉も通じますし、会話も成立しますが、それよりもっと幼い……例えば幼児などの場合、本人が法的手続きをするのはほぼ不可能です。ですから親権者が代理人となるわけですね。

なので、警察の言い分からすると、同行願いを出すのは私で構わないわけです。この場合、平井汀子さんと血が繋がっているかどうかは関係ありません。

そんな感じでM警察へ。
入り口のところで近衛不動産の営業さんが昨日連絡したのだが、と言ったところ。
まったくさっぱり連絡が行っておらず、とりあえず受付係的なところに通されました。
そこで近衛不動産さんが再び事情を説明する羽目に。

途中までは同行という雰囲気で進んでいたのですが、急に部屋の電話が鳴り、何故か私に替われと言われたのです。
何で私、と思いつつも電話に出たところ。
んー。聞き覚えのある声が。

電話口で一方的に言われたことは。

昨日、近衛不動産の営業と話したのは、第三者である近衛不動産からの依頼では調査は出来ない。身内が遠くにいるなら、じゃあ同意書なりなんなりがあれば同行してやると言っただけで、お前らがいるんならお前らで行けば済むだろう。(意訳)

……ここでかなり話が違っていたのが判ったのですが、一方的に言われたのと、署内の内線で、しかも私を指名して電話越しに言われたため、証拠がとれませんでした。
降りてきて直に言えば済む話じゃない?
何で出来ないのでしょう。それは私に言ったことと、近衛不動産の営業さんにした話が違うからではありませんか?

出来ないなら出来ないで構いません。その理由を法的に説明していただければこちらも納得します。
ですが、血縁者を連れてくれば出来る的なことを言っておいて、その態度はないと思います。

どうやら電話してきた奴は上官だったようで、受付係の人の態度が急変しました。
それ以上は話しても無駄でしたが、何度もしつこく同じ事を訊かれたり言われたりしました。
同じ話を繰り返すことにむかついたので長男は回数を数えていたようです。11回らしいですね。
出来ないなら出来ないで結構。
自分たちで乗り込め、と警察から言われたのですから、入っても問題はありません。

警察署を出てから現場に向かいました。
その車中でも近衛不動産の営業さんから話を伺いました。やはり前日の対応と、私への言い訳は食い違いがありました。
出来ないなら出来ないって言えばいいんじゃね?

そんな感じで現場に到着。
相変わらずのゴミ屋敷です。
でもってドアは確かに開きました。で、何度も呼びかけましたが応答がありません。

想像を絶するゴミぶり。

まず、階段があるのですが、その左半分がモノで埋まっています。
階段を上がりきると廊下があるのですが、そこが凄まじかったです。投げてあるのはタオルでしょうか。ちり紙でしょうか。廊下にまるで敷き詰めるかのように、丸めたそれが投げてあるのです。
でもってバケツが何個か置いてあり、激しく腐った匂いを放っていました。どう見ても汚水です。
廊下を進むと部屋がありましたが、そこはゴミで埋もれていました。押し入れのようなものがあるのは見えましたが、手が届きません。
続いてドアを開けると壊れたトイレが……。汚水の跡でしょうか。便器が黒くなっていました。
階段まで戻ると、隣にもうひとつ階段が並んでおり、こちらが母屋に繋がっていました。

階段を下りて中を覗くと、一枚の薄い布団が投げてありました。
タンスがあったので開けてみると、中には服がかけてありました。女物でした。
人がいられるとしたら、辛うじて……ですが、そこだけだと思います。ですが、ここもまたゴミがあって、とても住める状態とは思えませんでした。

とりあえず平井汀子さんがいないことを確認したので、その足で再び警察に。
今度は行方不明の手続きをとろうとしたら。

いえ、途中までは真剣に探そうとしてくれていたのですよ。
ところが急に手のひらを返して、近隣の人が午前中に見かけたということだから帰れと。

近隣の人って……。
だって近衛不動産の営業さんはずっと訪問を続けていて、近所の人に何度も訊いてくれているのですよ。中には「あそこ、人いたんですか?」と驚く人もいたくらいなのです。
そのことを再三説明したはずなのに、その『近隣の人』とやらが『見た』という一言だけで手のひら返して帰れですか。

普通は本人を確認するものじゃないんですか?
というか、近隣の人って1人だけいるっていう、あの怪しい居住者ですよね?
そいつ、普段は近衛不動産の営業さんが訪ねても一回も顔を出さず、たまたま一度だけトイレに入っていたところに通りかかって目が合い、そこで話を聞いたらしいんですよ。
そいつは確かに平井汀子さんはいるようだと言ったらしいのですが、会わないというのです。
会わないのに何でいるって判るんでしょう。

釈然としないまま、私たちはM警察を後にしました。
近衛不動産の営業さんも納得がいかなかったようです。というか、近衛不動産の営業所のある所轄署は対応してくれるらしいんです。なので、驚いたらしいですね。
私は以前に似たようなことをやられているので、驚きというか……むしろ、ここまで腐ってるのかと再確認出来ましたが。

とりあえず駅まで送ってもらいました。
恐らく前回の件から考えると、生きているのなら平井汀子さんは何らかのアクションを起こすはずです。
そのことを伝えてから、その後、今回の件の依頼書のデータと内容をメールしてもらいました。

そして今日。
夕方に近衛不動産さんから電話がありました。
平井汀子さんがあのアパートに戻っているそうです。ただし、まったく応答しないようですが。
怖いんですけど、と仰るので、暗いところですから今はそのまま帰ってくださって構いません、ご報告感謝します、とお伝えしました。

私を嫌うのも避けるのも構いません。好きにすればよろしかろうです。
ですが。

ノーギャラで遺族年金の手続きなどを手伝ってくれた近衛不動産の営業さんをぶっちするとはどういう了見なんですかね?
近衛不動産の営業さんが間に入ってくれたから、遺族年金の存在を知り、区役所で手続きも出来たのではないですか?

いただけない。非常にいただけません。
人間としてどうかと思うよ、その態度は。

なので、攻撃することにしました。
もう容赦しません。