2010/02/19

ある日、相続が発生した。77

さて。
約束の10時、三星さんとは無事にお会いすることが出来ました。

まず最初、実際の物件の写真を拝見しました。
ごみ、と呼ばれていた理由がはっきり判りました。


私「うわっ、きたねー!!!!!!! 数年前より酷くなってる!!」

三星さん「ええ、それでご近所の方々も非常に迷惑しているらしいんです。異臭が漂っていて」

私「そっ、そこまで!?」

三星さん「はい……実は隣に建っているのが中山さんのアパートなのですが、先月も退去者が出たらしく……」

私「そりゃ、んなとこ住みたくないでしょうしねえ」
(セリフはフィーリングと記憶のみに頼って書いてますので、意訳であると思ってください)


でもって、中山さんは分筆にOKを出したそうです。
その理由は、実は別の土地の関係で揉めていて、平井汀子さんと土地を交換するとかどうとかいう話になっていたらしいのですが、とにかく優柔不断で決断力がないため、最終的には三星さんの提案に乗ったそうです。

さあ、ここで私が依頼した案件の物件を分筆すべきなのかどうかの説明なのですが。
三星さん曰く、中山さんはとにかく自分の土地が欲しいタイプの方のようです。
最終的にOKを出したのは、争う相手が汀子さんでなく、子供たちになったかららしいです。
実は中山さんの脳内でも、共有者は汀子さんってことになってたらしいんですねー。
ところが蓋を開けると登記が変更されていた、という訳です。

……つーか、他人名義にする理由がどこにある?
最終的には息子のものになるのだから、と汀子さんは説明したらしいですが、それでは理屈が通りません。

だって脱税目的だって言われたら?
所有権を分散させることで、固定資産税を減らす目的だったとしたら?

ま、これは私の邪推かもですけどね。

んで、話を戻します。
三星さんは分筆することによって発生するリスクを説明してくれました。
まずは、交渉の窓口が1つになること。
つまりこれまでは私側としては、汀子さんと中山さんという窓口があったわけですが、今後は汀子さんに絞られる、ということです。
ですがこれは、どっちにしたって中山さんに決断力の欠片もないのですから、窓口を残しておく意味がありません。
んで、分筆の代金は20万。

さらに次のリスク。
分筆した後、所有権を交換します。
分筆というのは土地を分けるだけで、分筆した2つの土地が共有、ということになってしまうんですね。
その持分、つまり中山さんが持ってる「ゴミアパート分の土地」と、子供の所有する「中山さんのアパート側の土地」を交換しましょうね、ということです。
この交換代が20万。

でもって次。
交換の手続きには料金が発生します。それが15~20万。
つまり60万の手続き費用がかかるわけです。
もちろんそれは中山さんと子供とで半分ずつ持つ、ということになるんですけどね。

中山さんはこれで自分のアパートを好きに出来るわけです。
全部が自分の所有になりますからね。
そしてこちらには上物のリスクが残される。
でも分割しても上物はあるわけで、リスクが完全になくなるって方法はないんです。

現在の固定資産課税台帳登録事項証明書によると、土地価格はおよそ数千万です。
ところが上物があると話は別なのです。
登記はされていないものの、このごみ屋敷は汀子さんの所有ということになっているらしいんです。しかも住人が一人います。
例えばここを売るので退去をしてくれ、ということになると、何故かごみ屋敷の持ち主汀子さんと土地売買の金を折半、その上退去者には次の住居の敷金礼金などを支払わなければならず、更にごみ屋敷を潰す銭もかかるんです。
そうなると、子供の手取りが数百万になっちゃうんですねー。
思わず「はあ!?」とか言ってしまいましたが、そうなってしまうんだそーです。

何か話が変、とか思いつつも更に話は続きます。

実は今現在、中山さんは別のところにも汀子さんとの共有所有……というか、未だに相続分割協議が成立していない土地を抱えています。
そこと、共有部分を交換しないかという話で進んでいたらしいのです。
ところが。

実は汀子さんはもう、土地に執着はないらしく。
ただ、汀子さん曰く、孫に愛情を感じてどーとかでうんぬんらしいんですけどー。
はい、ここでボンク……もといw 司法書士須々木さんの登場です。
実は三星さんは須々木さんに会いに行ったそうです。
元々は別の職場……オフレコって言われたんですけど、どうせ仮名だからいいよね?wwwww
須々木さんは元銀行員で、最近になって司法書士になったみたいです。
そこでまず、吹きました。

ちょ、おま、元銀行員なら、まずいって判るだろwwwwwwwwwwwwwwww

私「は? え、銀行の方なら、銀行法はわかりますよね?」

三星さん「そのはず、なんですけども……」

私「だったらあの反応は変だと思うんですけど」

三星さん「いえ、確かにそうなんですけど」

私「横領ですよね?」

三星さん「ええまあ、そうなんですけど、でも聞いてください(段々早口にさらに口調が強くなってくw)。あの方は、悪気があるとかそういう訳でなくて、ええと何というか、正直というか、あの、決して裏があるわけではなく!」


なーるほど(笑)
私はここで理解しました。
つまり、そういうことにしておいて欲しい、という意味です。


三星さん「私たち司法書士は、喧嘩をするのが仕事ではなく、お互いに平和的に話をまとめるのが仕事なので」

私「つまり、そういうことにして欲しい、と」

三星さん「えーと、まあ、そうです」

私「判りました(笑) つまり、正直すぎてうっかりしてしまったってことですね?(笑)」

三星さん「はいっ」

私「貸しにしておきます(笑)」


そういうことで話が進みます。
中山さんと汀子さんが未だに争っている土地は、強制執行が出来る段階(つまり土地を売り、その売却金を折半する)に入っているそうなんですねー。
でもって汀子さん的には土地には執着はない。
もしも強制執行が出来て、売値を折半で手に出来るのなら、あのアパートをロハで出て行ってもいいみたいな話に進めたいらしく。

つまり横領で訴えない代わりに、その方向に持っていきたいということですね。
でもって須々木さんをつるし上げないってことにして欲しいってわけですね。


私「いえ、あの汀子さんもお年を召してらっしゃいますし、入院までされている(須々木さんがそう言ってたらしい)という話ですし、うちの方としては、これ以上土地が欲しいとはさらさら思っていませんので、どうぞ汀子さんの良いようになさってください(にっこり)」

三星さん「そうですよね、汀子さんとしては土地に執着はないようですし。実は中山さんの方が土地に執着を持っていらして、不動産、という形のままで置いておきたいという願望があるらしいんです」

私「ええ。でも生活費とか色々と掛かるんでしょう? 私としては強制執行をお勧めします。それで汀子さんの生活が楽になるのなら、是非そうしてくださいとお伝えください(にっこり)」

三星さん「はい、須々木さんもそういうお考えのようですので」

私「ええ、ここは平和的にいきましょう(超にっこり)」


私は悪党ですので、貸しを作った方が得だと判断しました。

辻褄が合わない点は多いです。
入院してるってどこに? 何の病気? それすら判らないっていうのは変だと思います。
なのに数日に一度、須々木さんのところに一方的に電話があるそうです。
確かにそれも困るわな(笑) だってあそこには住んでないもん。
推測ですけど。あくまでも推測ですけどね?www

で、私は廂銀行とのやり取りの中で、不思議な住所を見つけたと報告しました。
通帳の中の1つに見覚えのない住所の記載があったのです。
ちなみにQ県立病院のすぐ南に建っているアパートみたいなんです。
早速、三星さんはメモを取られてましたので、真相が分かれば報告してもらえるでしょう。

でもってついでと言ってはなんですが、遺産相続の処理をお願いしたい、と三星さんに直接申し出ました。
財産目録も出来ていない状況ですし、正直困っているんです、と。
そして廂銀行の通帳には、給与振り込みの形跡がないのだと。
そうしたらすぐに受けていただきまして。
でもって手数料10万の格安(笑)
その訳は私が色々と書類を既に持っていることとか仰ってましたが、恐らく並行して進める方が楽だからかもというか、貸しを作ったままだと気持ち悪いからでしょうか?(笑)

19時まで時間を空けている、という話だったので、19時の飛行機でお帰りになるのか、と訊いたら。

三星さん「いえっ! 午前中にお話出来ましたので、午後には戻ります!」

なんという忙しさ。さすがはプロ。
とりあえず手みやげを無理やり押しつけ、今後ともよろしくお願いします、ということで別れました。

今のところはそんな感じというか、要するに三星さんとしては、何としても須々木さんのイメージを変えたいというか、そうでないと困るっていうか、お願いします的なものが漂ってましたので、そういうことだと受け止めました。
ただ、強制執行とは言うものの、協議以前の土地は周辺とも揉めているそうで、分筆が上手くいくかどうかはまだ判らないそうです。
で、一年くらいかかるらしく。
んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(笑)
……出来れば長女の入学には間に合って欲しい、というのが正直なところですが、こればっかりは自分の力ではどーにもなりませんしね。
ただ、揉めてる土地が上手く回るようになれば、綺麗に片付く案件だと思いました。
どこかで誰かが掃除しなければならないのなら、仕方ない話かもですよね。